ブラック企業で死にかけた俺の自己紹介 ~その8~

さて採用が無事に決まった俺は、必要書類とバックグラウンドチェックなどの書類を提出して、晴れて米軍基地内に勤務することになった。

そして。日本の企業とは文化が全く異なるアメリカ社会に飛び込む事になったのだ。

パス(入場カードのようなもの、磁気カード)をもらって、初めてゲートの中に入った時の感動はもう凄かった。こんな手軽に外国に入れるものなのかと。

初めてパスを手にして車を使って入場した時は、本当に感動したことを覚えている。郵便局時代は、ゲートの前までの範囲で郵便物を配っていたのでいつも憧れの視線で中をのぞいていたのだった。

さて、この支給されたパス。本来の用途は確かに職務遂行のためだ。

それでも非番の日にも入ることができ、一部ではあるが軍関連施設を利用することもできる。例えば、スポーツトレーニングジムとかバーガーキングとかの飲食店だ。

米軍基地内は、アメリカの法律によって本土と同程度の生活を送ることができることを保証されている。そのため、基本的に何でもあるのだ。飲食店ひとつとってもファーストフード店から金土日しかやってない高級ステーキレストランまである。

ただしファーストフード店は、日本のものと比べると若干高めだ。バーガーキングとかファーストフードであっても10ドルを超えることは普通だ。平均して、日本円で1200円くらいはかかる。

なので、それほど劇的に安いわけではない。軍施設だからといってアホみたいに安いわけではないのだ。

金土日しか営業していない高級ステーキレストランも、また然りである。ただしこちらは高くても50ドル程度までに抑えられている。それでいて、約500gのTボーンステーキとかを食べることもできる。

俺はプレイしたことないがカジノまである。ジャックポットは万ドル超えてたな・・・・・スロットマシーンしかないのが残念だが。

これ以外にもバーでイベントが毎週のように開かれている。クイズとかビンゴとか、誰でも参加できてしかも賞金がでるものもある。

日本でありながら、法律的にはアメリカ本土のものが適用される。治外法権といえばわかりやすいかもしれない。そのため、現金を直接支給するタイプのイベントが合法なのである。

俺の好きなテキサスホールデムというポーカーのトーナメントまである。本職の軍人どもを相手にポーカーするのは実に楽しい。

と、まぁいい面ばっかり書いてきたが肝心の仕事についてだが・・・・・・・・

結論から言うと、この仕事場は人間関係だけがまた最悪だった。お局っぽいのが職場を牛耳ってやがるおかげで、新人は全く物が言えない環境だった。どこもかしこも似たようなもんなんだなぁ・・・・

ただし悪いと思った点は人間関係だけ、である。では、他はどうだったのか。

よい点として仕事内容は日本に比べて仕事内容自体ははるかにラク(ヌルイといってもいいだろう)なのに、時給はその地域の平均の200円以上高かったことだ。この点が救いだった。

なんにせよ、人間関係が俺にとって最悪だったことは前の郵便局でも同じこと。それと比較して、こっちは仕事内容自体は簡単で郵便局の時のように時間に追われることもない。雨の中配達して事故にあうリスクがあるわけでもない。さらにいうなら体力仕事ですらない。

この条件で、以前よりも確実に高い時給をもらえるので、前よりは条件はよかった。なので、続けられたのだ。まぁ俺にとっては憧れに近い内容の勤務だったので、この点も大きい。完全に英語しか使わない職場は、俺にとっては映画の中の世界でしかなかったのだから。

しかし、俺の立場はいわゆる非正規雇用だった。どうしても最初から正規雇用で米軍基地内で勤務するためには、抜群の英語力か何か特別な能力や資格を持っていないと厳しいのだ。

抜群の英語力は言うだけならとても簡単だ。TOEIC900点クラス以上が目安だ。このレベルまで持っていれば通訳の仕事がある。まぁそれでも実際に募集されている人数は1人か2人しかいないので、それでもかなり厳しい。

特別な能力や資格の面は、技術職に多い傾向だ。電気工事技師の資格とかボイラー工事の資格を持っているとか、こういう感じだ。どれも専門知識と経験が必要なので、文系大学を卒業した俺にはまず無理な仕事だ。

こんな感じで今すぐクビになるほど安定がないわけではないが不安定なことに違いはなかった。更新頻度も半年に一度だったので、この点もなるべく早く改善する必要があった。

そんな時に、俺は非番の時間を利用してその職場の仲のよい先輩に連れて行ってもらった場所がある。

そこは、基地内の職業あっせん所だった。

次回:基地内のハローワーク!?

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