面接を知る ~志望動機を教えて下さい、だと?~

では、今回は個人面接のページで紹介した、各種質問に回答するためのポイントを押さえていこう。

 

集団面接ならまだしも、個人面接ではかなり深く質問をしてくる場合が多いからだ。そのためには、採用担当者が何を知りたがっているのかを踏まえた上で、回答する必要がある。

 

今回は、質問の中では定番中の定番である志望動機を回答する場合だ。

 

…さて、ここまで述べておいてなんだが、1つ皆さんに尋ねておこう。

 

志望動機、ホントに志望しているのか?

 

…この質問に堂々とYES!と回答できるのであれば問題ない。むしろ、そういう人たちはこのページの内容を読む必要は、恐らくない。嘘偽りがないなら、最もストレートに入社の意思を採用担当者に訴えることができるからだ。

 

だが、皆さんの多くはそうではないだろう。第1志望の企業はあるかもしれないが、基本的にホントの第1志望か第1志望に近い企業を受験するチャンスは、それこそ1度か2度程度しかないからだ。

 

よって、こういう書き方をすると誤解を生むかもしれないが、原則としてESには嘘を書き面接では嘘を述べることになる。

 

嘘ではないにしても、自分の思っていることの本心ではないことのほうが多いだろう。しかし気にする必要はない。採用担当者もそんなことはわかってる。ただ、解答の方向性は、新卒の学生と転職の社会人とでは、大きく異なる。

 

簡単に考えると志望動機の作成も述べ方も新卒のほうが面倒であり、転職のほうが簡単だ。では、その理由を考えていこう。

 

新卒の学生が難しい理由は? ~夢を感じさせる必要があるからだ~

 

では、初めに新卒の学生の志望動機を、面接で回答する方向性を考えていこう。これは一言で難しい、のである。

 

恐らくこのページに来る前に、いろんな就職関連サイトを見ていると思うが、こんな文言みたことないだろうか?

 

  • 企業の面接では必ず「第1志望」って言わなければ通過できない。
  • 「第1志望です」以外の回答はあり得ない。
  • っていうか、それ以外の回答言った段階で終了。

 

このような意見は、あっちこっちで見たことがあるはずだ。これらは全て正解。だから困るのである。

 

考えてもみてくれ。第1志望でもない企業に「第1志望です」と述べなければならない。んで、その理由を作成して採用担当者に納得してもらう必要がある。

 

…好きでもない女子(男子)に罰ゲームのように告白して、相手から「何で私(俺)のこと好きになったの?」って質問に対して、相手を納得させなきゃならんのだ。難しいのは当たり前である。

 

つまり志望動機の作成と面接で話すことは、大半の場合「正直そこまで好きでもないし、興味もない会社へ自分を受け入れてもらうためのラブレターを作成して、相手に納得させる作業」なのだ。

 

……やる気でないのが普通だ。そこは、甘えてもいい。

 

そして、学生の述べる内容として「夢を感じさせる必要」がある。どういうことか?

 

これは回答の雰囲気としてだが、「将来を感じさせる説得力ある内容」が欲しいのだ。まったく採用担当者を相手に話すのも面倒なものである。この例を考えると、こんな感じだ。

 

1.私は御社に入社した後に、平凡に働き言われた仕事を忠実にこなして定時上がりを希望します。そして自分のプライベートを充実させて、ゆったりとした人生を送りたいと考えています。

 

2・ハイッ!私はっ!御社に入社できましたらっ!全力で会社の仕事に取り組み、頑張っていきたいと思いますっ!そしてっ!○年後には御社が業界1位となって堂々とした売り上げを、チームのみんなで達成してっ!喜びを分かち合いたいと思いますっ!。

 

この差、わかるだろうか。1が淡々と述べていることに対して、2はいわゆる「熱い」述べ方になる。

 

私の経験上ではこの二人。どっちも落ちるが、どっちか取れと言われたら2になる。なぜなら、言われた採用担当者の気分はいいからだ。会社を誉めてくれれば。

 

…まぁ現実には、この内容に近いことを述べてくる応募者はどっさりいるし、だからこそ集団面接や個人面接で次々と落としていくのではあるが…

 

社会人が簡単な理由とは ~社会経験があるから述べてもいいのだ~

 

…なんのことだろうか?新卒は述べた瞬間に落とされ、社会人であれば述べてもよい内容…そう、待遇やずばり「年収」である。

 

社会人の転職においては、年収の改善などを求めて転職することは普通である。志望動機に絡めても問題はない。つまり、社会を経験しているから現実的な転職理由を面接で述べてもそれだけで落とされることはないのだ。

 

新卒の学生は、この点を使えないため途端に厳しくなる。使ってもいいが、採用担当者に「世間を知らない生意気な学生だな」とか「採用しても使いにくい人材だな」思われ、結果として不合格になる可能性が高い。

 

よほど優秀な学生でないと、新卒の時に条件面は述べてはいけないのだ。結果として、「御社の理念や考え方に…」といった、「絶対ウソだろ」みたいな志望理由を述べる人が多くなる。

 

肝心の志望動機を面接で述べるコツとは?

 

さて現実にはESに記載し面接で回答できなければ、職を得ることができず最終的にメシが食えなくなる。そのために、上手に嘘をついていくことが社会人に求められる点だ。

 

では、面接での回答の仕方と内容を考えていこう。重要なことは次の3点だ。

 

  1. 結論を一言で最初に述べること。
  2. 結論を補足するように述べること。
  3. 長くても1分程度で回答を終えること。

 

これらは志望動機に限らずどの質問であっても使えるテクニックだが、志望動機では特に重要なポイントだ。では各ポイントについて確認していこう。

 

最初に注意する点 ~1に結論、2に結論、3にも4にも結論だ~

 

まず結論を一言で最初に述べることが大切だ。「一言で最初に」がキーワードである。これは、採用担当者の気持ちを考えた上で、という点も含まれている。

 

まずここで大切なことはふたつ。1つは人の集中力は最低8秒、長くても15秒程度しか持たないことだ。この間に採用担当者に、ある程度の興味を持ってもらわなければまず通過できない。「一言で最初に」ってのは、このためである。

 

実際のビジネスシーンでも、わかりやすく結論を述べてそれに対して興味を持ってもらわなければ、商談にならないからだ。この面できちんとした回答ができるかどうか。採用担当者は知りたがっているのだ。

 

最も簡単な例をみてみよう。志望動機の例ではないが、日常生活でもしこのように尋ねられたらどっちが適切だろうか?

 

  • Q:あなたの身分を教えて下さい
  • A1:○○県の○○にある経済学部で勉強している大学生です。
  • A2:大学生です。○○県の○○にある経済学部で勉強しています。

 

A1とA2では、全体の回答内容に違いはない。ただ述べる内容の順番が違うだけだ。相手から「身分」を問われているので、「大学生」という回答を先にしているA2が理想的なのだ。

 

相手の質問に、相手から望まれている回答をすること。これが結果として「結論を先に述べる」ことに繋がるのだ。

 

次に注意する点 ~結論から話を膨らませろ~

 

次は、結論を補足するように述べることだ。これは、最初の回答にどんどん情報を上乗せして、具体的に述べていくようにすることだ。

 

先ほどの例でもう一度考えてみよう。

 

  • Q:あなたの身分を教えて下さい。
  • B1:社会人です。
  • Q:お仕事は何をされてらっしゃるんですか?
  • B2:金融業に努めていましてね。
  • Q:ほう~。どちらにお勤めてで?
  • B3:○○県の○○に本社がある金融業で、もう○年程になります。

 

上記のように、どんどん詳細な情報を上乗せしているのが分かるだろうか。志望動機も同様である。結論から述べて、その理由を採用担当者との会話によって、補足する述べ方が最も通用するのだ。

 

最後に注意する点 ~長くても1分程度でまとめろ~

 

最後に注意すべき点は、回答内容は長くても1分程度でまとめることだ。これは、人間の集中力の限界が長くても1分程度だからだ。

 

1つの質問に対して、ダラダラ回答していても相手の集中力が持たないのでそもそも話を聞いてもらえない。それどころか話の要点をまとめられない無能、と判断される可能性すらある。

 

このように思われないためには、要点を押さえて発言することだ。その要点をまとめた発言が1分程度、と考えるようにしよう。

 

面接は試験のひとつではあるが、採用担当者とコミュニケーションをとる場所でもある。わからないことや知りたいことがあれば、相手から尋ねてくる。その時に、情報を加える形で回答して会話を成立させていけばいいのだ。

 

最初から長々と述べる必要はない。端的に短く述べたほうが、採用担当者の気持ちを掴みやすいのだ。

志望動機のまとめ

 

志望動機作成と面接での述べ方には、それぞれ基本方針がある。新卒は将来性を、転職希望者は現実的な理由を語ることだ。その上で、結論を先にのべ1分以内で、要点を押さえて回答することが求められる。