さて、今回は転職活動をする時に活用する転職エージェントの対になる就活エージェントについて見ていこう。転職エージェントほど有名な存在ではないので、知らない人も多いかもしれないが、今現在でも多くの就活エージェントが存在する。
前回は転職エージェントについて説明したが、今回は学生が利用する就職版転職エージェントである就活エージェントについて、その実態と大学などでよく見られる就職指導課や学生課の提供しているサービスとの違いについて見ていこう。
就活エージェントとは一体何なのか
ではまず就職活動を支援する就活エージェントとは、具体的にどんなサービスを提供する機関なのかを確認していこう。
まぁ簡単に言ってしまえば、転職エージェントに似たサービスを提供すると考えればいい。とは言うが、具体例が何もないのもアレなので、概ね次のようなサービスを提供していると思えばいい。
- エントリーシートや履歴書の添削指導
- 適性診断
- 求人の紹介
- 応募手続きの代行
- 日程調整や合否連絡
- 面接対策
- 就活イベントやセミナーなどへの優先参加
とまぁこんな感じだ。だが、あくまで転職ではなく就職活動を専門に支援するのが就活エージェントだ。そのため、転職活動では必須である職務経歴書のサービスはなかったり、年収の交渉は存在しない、という面もある
ただし、各種添削指導や適性診断を行ってそこからアドバイスしてくれるという点はかなり頼りになる。実際の社会に出て、就職活動を専門に扱っているプロの目線からのアドバイスになるからだ。
ここで注意しておきたいのは特に大学生の場合、就職指導課や学生課といった場所で添削指導や面接指導を受けるかもしれない。これはあまり信用しないほうがいい、ということなのだ。
なぜか?
簡単だ。就職指導課といった場所の職員は、こと「就活」に関しては最も縁遠い人たちだからである。単位の相談とか講義とか、大学生活に関連する所ならプロなんだけどな。
就職指導課に所属している人たちの大半は、基本的に大学を卒業してそのまま大学職員になった人たちが多い。つまり民間企業の社会人が必ず持っている「社会人」としての経験を全く持っていないのだ。
それはある意味当たり前でもある。大学卒業して職員として勤務して数年ごとに勤務する部門が変わって…という流れで生活している人たちだ。
大学生よりは社会人経験を持っているだろう。だが、最も大切な民間企業で働いたことがある経験、を持っている大学職員は相当に少ない。この点がまずいのだ。たとえ、専門的な就職活動の知識を持っていたとしても…である。
では、なぜダメなのか
ではなぜ大学職員にアドバイスを受けることがダメなのか、疑問に思う人も多いだろう。こう考える人もいるだろう。彼らはある程度調べて知識として就職活動を知っているのだから、ある意味プロだろうと。
民間企業で働いた経験はないかもしれないが、頼れる存在に変わりはないだろうと。このように考える学生は毎年いる。別に間違ってはいないが、正しくもないのだ。
考えてもみてほしい。学生が働く場所はどこだ?
もしあなたが大学職員として働くつもりなので、面接の指導対策をしてほしい、というのであれば彼らに相談することがベストだ。彼ら自身が経験したこともあるので、そのアドバイスも的確なものになるだろう。
しかし、である。大半の学生が働く場所は民間企業、まぁ譲っても公務員とかそういう感じだろう。公務員はまだよい。大学職員と似たような「お役所仕事」でやっていける場所である。民間企業はどうか。
民間企業は実社会である。実社会の人に気に入ってもらわなければ、採用されることはあり得ないのである。
民間企業で働いたことのある人と、公務員しか経験したことのない人ではその差は非常に顕著である。参考までに、大きく民間企業経験者と公務員経験者の差をみていこう。
民間企業経験者の特徴
- お客様あっての企業である。このため商売相手が必ずいる。
- より効率的に取り組む事が大原則。相手によって柔軟に対応することが大切。
- そのため、理不尽も時には受け入れなければならないことを知っている。
- まとまりかけていた話が、相手の気分1つで無かったことになることもある
- 社内でも(場所により異なるが)競争に勝ち抜かないと出世できない。
- あまりに勤務態度や業績が悪いと、容易に解雇される下地がある。
公務員経験者の特徴(大学職員は概ねこっち)
- 相手はいるが、「お客様」というほど高い意識は必要ない。
- ルールに則って処理することが大原則。前例が極めて大切。
- そのため改善案だしても、ほぼ適用されない。ルールかえるの面倒。
- 立場が法律で守られている側面がある。
- 犯罪以外ではクビにはならない。勤務態度はともかく、業績など存在しないことも多い。
- そのため、既定の時間こなせば帰れるため、仕事に対する意識はそれほど高くない。
このような2人の異なる立場の人が面接を指導する人としていたらどうなるだろうか?そこを考えてほしい。
民間企業経験者の述べるアドバイスは基本的には民間企業で生き抜いていくためのものだ。公務員経験者の述べるアドバイスは、公務員としてお役所仕事をこなしていく中で生き抜いていくためのものだ。
例えば民間企業経験者が述べる面接アドバイスは、相手に気に入られるようにすること。柔軟に対応すること。時には理不尽も受け入れる必要があるんだよ?となるだろう。
これが公務員経験者の場合は、ルールを守って勝手なことはしちゃダメなんだよ?ちゃんと上の人の立場や気持ちを慮って余計なことはしないようにね?となる。
もう1度述べよう。これを忘れてはならない。
あなたが就職したいのは民間企業?公務員?
これで、民間企業なら就職エージェントを、公務員であれば大学職員などを用いるとよい。それぞれ下地の部分が共通しているからだ。上手に使い分けることが大切である。
エージェントを利用しよう ~就職指導課はあまりあてにはならないぞ?~のまとめ
民間企業に就職したいと考えている学生には、就職エージェントの利用がオススメだ。大学の就職指導課などを使ってもいいが、有効な場合は公務員への転職などの一部に限られることが多いので、差の違いを把握して上手に活用することが大切だ。