面接を知る ~学生時代に頑張ったことなんて何を述べればいいのやら~

さて、今回は個人面接のページで紹介した、各種質問に回答するためのポイントを押さえていこう。

今回は、学生時代に頑張ったことを聞かれた場合だ。採用担当者が応募者の個性や人格を判断する上で材料にすることが多い。どんな人なのかを大雑把に確認するために質問されることが多いので、回答する際には多少なりとも気を使いたいところだ。

…さて、ここまで述べておいてなんだが、1つ皆さんに尋ねておこう。

学生時代に頑張ったことが全くないなんて思ってないか?

まぁ、こっちの質問も自己PRに似た性質がある。つまり誰もがうらやむような輝かしい経歴である必要はないのだ。

もちろん中には、そのような経歴を持っている人もいるだろう。ただし絶対的少数であることは間違いないしそのような経験を持ってる人は、どうしてもその経歴に頼りがちになるので、選択肢が狭まってしまう可能性すらある。

では、採用担当者もわかっている応募者の「別に輝かしくもないどこにでもある普通」の経歴なのに、なぜわざわざ「学生時代に頑張ったことは何ですか?」と質問するのか。

応募者が「会社の求める要素」を回答内容に含められるかどうかをみているためだ。

採用活動は自社の戦力になる人材を補給するためだ。中途採用の場合は特にこの点が重要視される。欠けた分野の戦力補充のために採用するためである。

新卒の学生の場合は若干異なるが、それでも長期的視点で会社の役に立つ人材を育てるために採用する。いずれにせよ、採用するからには自社の役にたってもらわなければ意味がないのだ。

なので、会社の求める人材の方向性と応募者が備えている性格や能力が一致している必要がある。この点を確認するために、採用担当者はあえて似たような回答しか出てこないとわかりきっている質問をするのである。

その点を踏まえた上で、応募者自身のことを回答内容に含める必要がある。実に面倒な回答を求められるのだ。

まぁしかしだ。面倒といっても内容さえ把握できていれば細かい部分はあまり問われないということも特徴だ。では、多くの会社で含めてほしい要素とは何か。それが、これらだ。

  • チームで仕事ができる人かどうか
  • 頑張ったことから何を学んだか具体的に把握しているか
  • 何でもいいから困難に立ち向かった経験を備えているか

ざっとこんな感じだ。じゃぁそれぞれの要素をみていこうか。

まず最初に、チームで仕事ができる人かどうかっていう点がある。これは、どの企業でもほぼ同じだ。アーティストとかを採用する企業なら違うかもしれないが、この面を求めない企業はほとんどないといってもいいくらい、必ず必要な要素になる。

企業で仕事として取り組む仕事は、たとえ営業の仕事であっても完全にソロで仕事をすることはあまりない。報告する上司がいたりする関係で、自分1人が完全に独立してやっていくことは少ない。

この点でチームの一員として何かを成し遂げた経験を持っているか、という点を備えているかどうかがまず知りたいポイントになる。

次に、頑張ったことから何を学んだか具体的に把握しているか、という点がある。これは、応募してきた人が主体性を持って(つまり自分から進んで)取り組んだかどうかを見ているのだ。

必ずしもリーダーになる必要があるわけではない。もちろんリーダー経験があれば、その経験からチームをまとめる苦労などを語ることによって、採用担当者の印象を良くすることが出来る可能性は高いが、必須ではない。誰もがリーダーに向いているわけではないからだ。

何を学んだのかを具体的に把握しているか、という点が重要視されているのだ。

たとえばチームの活動でリーダーなら、リーダーを務めたことによってどのようなことを学んで自分ではこのように考えた、ということを含めて採用担当者に述べられるとポイントが高い。

「リーダーを務めました」だけでは、「…で?」と採用担当者に思われてしまう。

「リーダーを務めて、ゼミの研究成果をまとめました」であっても「…おまえは具体的にどう感じたの?何をしたの?」という印象を持たれてしまう。

「リーダーを務めゼミの研究成果をまとめた経験から、考え方の異なる人の意思をまとめるのは大変だということを学びました」というところまで述べて、はじめて採用担当者は理解を示すのだ。

実際の面接ではここに更に追加で質問が聞かれる。上記の続きだと「考え方の異なる人をまとめる上で何が一番大切だと思いましたか?」といった採用担当者側の質問が想定される。

最後に、何でもいいから困難に立ち向かった経験を備えているか、という点だ。これは採用側の今ドキの事情を反映して、含めて欲しい内容になっている。

昔(といって30年程度だろうが)の日本人は、良くも悪くも我慢強い人が多かった。特に昭和の時代は、これが顕著だ。こうした点を学生時代から何らかの形で鍛えている人が多かったので、かつてはそれほど強く問題視されなかったのだ。

ところが現代では、昔に比べれば精神的な面で脆い人が多くなっている。若い人だけではなく、30代や40代であってもその傾向が増えてきているのだ。

新卒の場合で有名な例は「出社1日目で辞めた」などである。採用担当者からすれば怒り心頭ではあるが、こうした例は毎年少なからずある。「耐えることに何の意味があるのか」と考える人も多いからだ。

この点で少なくとも何らかの困難に立ち向かったことがある人は、こうしたあり得ない離職を発生させる確率が低い。という考えで、この点を重要視している企業も多いのだ。実際にはわからない部分も多々あるのだが…

学生時代に頑張ったことから、採用担当者はこのような多くのことを見ているのだ。これらの要素を含めると、次のステップにいける可能性がそれだけ高くなるのだ。

学生時代頑張ったことのまとめ

学生時代頑張ったことを採用担当者が尋ねるのは、応募者が会社の求める要素を回答内容に含められるかどうかをみているためだ。その内容は、チームで仕事ができる人かどうか、頑張ったことから何を学んだか具体的に把握しているか、何でもいいから困難に立ち向かった経験を備えているか、という点である。