ニュースから考える就職活動と転職活動 ~就職協定を廃止すると学生が○○になる~

このページは最近世間をにぎわせているニュースから就職活動と転職活動の今後について考えてみるページだ。直接的なテクニックはないので、あくまでも雑学や持つべきスタンスのひとつとして読んでもらえると幸いだ。

 

最初は現代の就職活動に密接に関わるこの点を取り上げよう。経団連が設定していた「就職協定」が廃止され、どの企業も事実上通年採用が可能になったというニュースだ。

 

対象となる範囲は、今現在で大学2年生として在学している学生からだ。この学年から採用に関しての制限が名実ともになくなることによって、企業にとってはより自由な採用活動をすることができる、というものである。

 

ただし、である。これが現役の学生に与える影響は大きい。どのような影響か。簡単だ。

 

より学生の負担が大きくなり、大変になるのだ。

ではその理由について考えてみよう。

 

(注:この記事内容は、一般的な大学の文系学部を卒業して就職する場合を想定している。理系の場合は、また別の機会に述べるので注意してくれ。)

 

学生の負担は大きくなる!?就職活動はこうなる!

 

現代の日本では就職活動によって、新卒時の一括採用が基本になっていることは言うまでもない。そして、採用される時期は基本的に決まっている。だからこそ皆が同じように動き、同じ格好をして、似たような志望動機や自己PRの作成に苦労するというわけ。

 

無論全ての企業が、経団連が定めた「紳士協定」を守っていたわけではない。外資系企業がその代表例だ。経団連に所属していない以上ルールを守る必要は彼らにはない。

 

また採用活動はどれだけ優秀な人材を多く集めることができるか、というゲームでもある。勝つためには手段を選んでられないという面も(程度の差こそあれど)存在するのさ。

 

諸外国では特に異質と見なされていることが多いこの日本の就職システムだったがメリットもあった。

 

採用担当者から見ればある程度決まった時期に採用活動に専念すればいいために、企業としての行動計画が立てやすい。どの程度の時期から取り組めばいいのか、という点もノウハウとして継承されているためだ。

 

学生から見れば、就職活動を始める時期がある程度とはいえ決まっているので、その機関まではサークルやゼミ、アルバイト、課外活動に力を注げるというわけだ。ぶっちゃければ遊べるってこと。この就職活動を始める時期は、現在は長期インターンの応募が始まる大学3年時の6月程度からである。

 

まぁ実際には人によって早く始める人もいるし、逆に卒業直前になって慌てて取り組む人もいる。一概には言えないが、それでもある程度目安となる指針が存在していたことは事実なのだ。

 

で、上記の指標がなくなるってことは就職活動が通年化することを意味する。つまり4年間ずっと就職活動を続ける必要があるかもしれないのだ。

 

高校受験の時の1年間勉強漬けだった人も多いだろう。なのに入学してまた、しかも4年間も就職のことを常に考えるかもしれないのだ。ストレスがたまることは間違いない。

 

その他にもこんな問題が出てくる可能性があるだろう。

 

  1. 内定(内内定)をもらっても安心できない ~○○がさらに問題に!?~
  2. 「内定ブルー」がさらに加速する ~○○の格差が増える!?~
  3. 無い内定は絶望的になる。

では、このそれぞれの面倒そうな点について考えてみよう。

 

1、内定(内内定)をもらっても安心できない ~○○がさらに問題に!?~

 

まず一番デカい問題になる点はこれだ。内定(内内定)をもらっても安心できないってどういうことだろうか。

 

これは大学生が4年間ずっと就職活動に取り組むと考えたら在学中にずっと背負うリスクなのだ。「内定取り消し」のリスクである。

 

内定取り消しとは、せっかく内定を企業からもらったのに企業側の事情で一方的に雇用契約を解除されることだ。これを卒業直前にやられると大変厳しい。もう後がないからだ。

 

ただ、内定取り消しはすでに色々なところで問題になっているために、おいそれと簡単にできるわけではない。企業側にやむを得ない理由が存在した場合にのみ、内定取り消しをすることが許されているためだ。

 

…だが、これは現行の新卒一括採用の時の基準で考えられている。これが通年で内定を得るようになるとどうなるか。

 

「内定取り消し」を少なくとも今よりは簡単に適応することができるようになる、ということだ

 

考えてもみてほしい。4年間常に採用される可能性がある状況になれば、大学1年生の時点内定を得る可能性だってある。卒業することが条件にはされるだろうけどな。

 

しかし、である。実際に本採用となる3年、4年後に企業の業績が悪化する可能性はないわけではない。実際に悪くなる企業だって出てくる。その時に「ごめん、やっぱむり~」というノリで内定を解約される可能性は低くはないのだ。

 

これが本人が3年時や4年時で得た内定であれば、実際に就業するまでの期間が短いので、上のようなふざけた理由で採用を拒否することはやりにくい。しかし、1年時で内定を得てしまうと、この期間が長いのでうやむやになってしまう可能性がでてくるのだ。

 

こうした点で、内定取り消しがさらに問題になる可能性がある。

 

2、「内定ブルー」がさらに加速する ~○○の格差が増える!?~

 

次に問題になる点がこれだ。内定ブルーという言葉を聞いたことはあるだろうか。ヘタに使うと周りから白い目で見られる可能性が大きいが…

 

内定ブルーとは、内定を得た企業が多すぎるためにどの企業に本当に就職するか本気で迷ってしまうことだ。だから「ブルー」なのである。周りからみたら羨ましい限りではあるが、少なくとも本人の感覚では憂鬱なだけである。

 

さて、この点では4年間通年で取り組むことによって、今現在でも発生している問題がさらに加速する。そう、内定を得ることが出来る人と出来ない人の差。いわば、内定と無内定の格差である。

 

優秀な人材は大学入学当初から就職活動に対して真剣に取り組む。その結果として、多数の内定を得ることができる。その中から選んでいかなければならないので、内定ブルーが加速することになる。

 

最もこのような学生は、はやくから1つ目の内定を確保し保留しつつも、よりよい条件で働くことができる企業を探し続けることになるだろう。こうした意味では、4年間新しい企業からの内定を得るごとに、内定ブルーになる可能性もある。

 

しかし現代よりも内定を得ることが出来る人と出来ない人の差は、より顕著に表れることになる。よって、この格差が今よりもより濃く現れることになる。

 

3、無い内定は絶望的になる。

 

次に紹介する点はこの点だ。「絶望的になる」ということには、次のような意味がある。

 

4年間通年で採用される状況になった後は、皆が今よりも一層早い段階から就職活動に取り組むことになる。残念ながら環境的にも、就職活動に取り組む事を促されると考えたほうがいいだろう。

 

このような状況下になった後、3年生や4年生で内定を1つも得ていない学生はどのように見られるだろうか。

 

…これが絶望の正体である。ただでさえ、今でも4年生の8月とかで内定を得ていない学生は、採用担当者からビミョーな目でみられているのに、状況がよりシビアになっていくのである。俺がかつてそうだったように……

 

採用担当者から見れば、優秀な学生を欲しいという点においては今も昔も大きくは変わらない。しかし、採用活動に割くことのできる費用と時間は限られているために、どの学生をターゲットにしていくか、という点は変わってくるだろう。

 

このため、例えば酷な話ではあるが通年採用になったら、4年生は選考の対象から外すという企業が出てくるかもしれない。なぜか。

 

大学入学して3年間も就職活動しているのに、4年生の時点で受けにくるということはまだ内定もらっていない無能な学生の可能性があるからだ。今現在の言い方で言えば、4年生の1月といった、もうどうにもならない時期で受けにくる学生のようなものだ。

 

もちろん優秀な学生である可能性もあるが、確率で言えば無能の可能性のほうが高い。大企業の採用活動などであれば特に、である。リソースが限られていて採用対象を絞る必要があるシーンであれば、間違いなく4年生は除外されるだろう。

 

このような意味で、今現在よりも無い内定の絶望感はハンパないことになると思われる。

 

このような中でも内定を得るためにはどうすればいいのか

 

では、こうした制限が撤廃された状況下で内定を得るために必要なポイントは何か。テクニック的な面はおいておくとして、基本的には早期から取り組み始めることである。

 

今現在では3年の6月程度から4年の6月程度までの、約1年間が就職活動の実質的な時間だ。これが前倒しされて大学1年から大学3年生が終わるくらいまでに引き伸ばされたと考えればいい。実質2年間と倍くらいにはなるだろう。

 

つまり企業の選考がより長くなり、学生にとっても早期から内定を得ることができるチャンスがある。→状況的にはこうなるのだ。

 

選考が長くなればより詳細に履歴書や面接を見られることになる。学生にとっては、活動する期間が長くなる分、より入念な準備が求められるようになる。

 

そのためにも、常に自分のアンテナを磨いておき就職活動に関連する情報を集めることを怠らないようにすることが、内定を得るための基本的なスタンスになる。この点を把握して、いかに活動するかが今後の内定を得るためのポイントになるだろう。

 

~就職協定を廃止すると学生が○○になる~のまとめ

 

就職協定が廃止されることによって、基本的に学生の負担は厳しくなる。就職活動は確実に長期化するためだ。その分、アンテナを張って情報収集をしながら自分を磨いていくことが内定の近道になるだろう。